小説 World-・ 7

「ク、クライグス・ヂィルノ!?」
「大声で俺の名を叫ばないでくれ。耳がキンキンする。」
「あ、ス、スミマセン!!」
まさかこんなに騙されやすそうなポケモンがあのクライグスだなんて...予想もしていなかった。
「ていうか、こんな嘘みたいな言葉、よく信じてくれましたね。」
「だってお前、さっきヒルズに投げ飛ばされただろ?ずいぶんと焦っていたな、俺がアイツに話した情報に。」
「え?なんで知って...」
「俺のことは知っているんだろ?なら、俺がなんと呼ばれているかも知っている。そう考えれば、簡単なこと。」
私はハッとした。なるほど、そういうことか。
「すべてを知っている者...でしたね。」
「そういうことだ。」
満足したようにクライ(彼がそう呼べと言ったのでそう呼ぶ)は微笑む。分かってくれたことに喜んだのか、それとも、説明することが省けたことに喜んだのかは知らないが。
「君と出会ったのも何かの縁、俺に敬語はつかわなくて結構。仲良くしよう、メルナス。」
クライは手を差し伸べる。私はその手を握り返しながら、呟いた。
「ええ。よろしく、クライ。」
こいつはヒルズと似ている。しかし、違うのは本当にすべてを知っているということだ。よくは分からないが、コイツとは、うまくやっていけるような気がした。
「さっそくですまないがメルナス、逃げろ。」
「...は?」
何を言っているんだ、コイツは。そう思いながら、クライの目の真剣さに違和感は感じていた。
「俺がヤツらを引きつけよう。それまでにここから6キロは逃げるんだ。お前なら20分程度で行けるだろう。」
そう言いながらクライが取り出した(正しくは両手から出てきた)のは...
拳銃!?
つづく-----