小説 World-・ 9

どのくらい走ったのだろうか。6キロは走ったのだろうか。
「けっこう走ったな...アイツ、大丈夫なのかな。」
クライは私を逃がした。なんのために逃がしたのだろうか、やはり、アイツも私の力が欲しかったのかな...。
「ていうか、力集?力集者?わけわからないよ...。クライ、早く来ないかな。」
「む?心配してくれていたのか、ありがたいな。」
「ク、クライ!!来んのはや!!」
気づくと木の上には、クライがいた。いきなりすぎて心臓が止まるかと思った。
「すぐに追いつくと言っただろ?思ったよりヤツら弱くてな。すぐに終わった。」
相手が弱かったといっても、ヤツらは強い力を持つ者たちを捕まえるんだよな...それに数は15匹程度。そんなにすぐ終わるとは思わない...。何者なの、コイツ。
「さて、これから向かうべき場所を俺が教えてやろう。ついて来い。」
「まっ待って。どうしてアンタは私を助けてくれたの?」
「...俺もヤツらに追われているのでな、簡単にいえば、逃走仲間だ!!」
「絶対に嫌だあぁぁあ!!!」
なんだかんで言って私はクライについていってる。この後どうすればいいか、まったくわからないからね。
「さっそくこの先にある町を訪ねてみよう。まずは情報収集だ。レッツゴー!」
無口で暗そうな見た目とは違い、クライは意外にも内面明るい性格だ。小走りになっているクライの後を追いながらふと思う。
(コイツ、どうやっていろんな情報を知っているんだろう。しかも、それすべてを記憶できるなんて、スゴイ。私今、もしかしてかなりスゴイやつと歩いてるのかも...。)
急にクライが立ち止まる。そして振り向きざまにこう言った。
「着いたぞ、メルナス。ここがヒルノ町だ。」
つづく-----