小説 World-・ 8

「へ...?え?はい?け、拳銃!?」
私が驚きの声をあげると、クライも少し驚いたような表情になった。
「なんだメルナス、拳銃を見るのははじめてか?まぁいい。コレ、やるよ。」
いやいやいや、普通は拳銃なんて見ないよ!!やっぱりコイツとはあまりかかわりたくない!てか、銃をやるよって...なにいってんのコイツ!
「け、結構!いりません!普通に走って逃げるから、もうその拳銃しまって!!」
「いらないのか?ならいい、気をつけて逃げろよ。ちなみにこの銃は俺も使うから、しまわないからな。」
ああもう!コイツいろいろ細かい!!てか、なに私逃げる準備しちゃってるわけ!?なにから逃げるか、まだ分かってないじゃん!
そう思っていたのだが、次の瞬間、逃げたいという考えに思考が切り替わった。
「...きたぞ。力集だ。」
「り...力集!?」
クライの視線の方向に目を向ける。たしかにその先には、異様な目をしたポケモン達がいた。その数およそ15匹。
「なんなの?あの変な目をしたやつら!」
「力集。力を集めるため、力が強い、また、普通とは違う力を持つ者達を捕まえるやつらだ。あいつらのリーダーは力集者といわれ、多大な力を求めているらしい。まぁ、今確かなのは異能力を持つメルナス、お前はまず逃げたほうがいい。」
なんか大変なことに巻き込まれた気がする。いや、巻き込まれたんだ。しかし、逃げた後どうすればいいかわからない。
「とりあえず6キロは逃げる。でも、まだアンタに聞きたいことはたくさんあるんだけど...。」
「安心しろ。俺も後ですぐに追いつく。お前がどこに逃げたなんて、情報ですぐにわかる。」
「わかった。...頼んだよ。」
「ああ。任せてくれ。」
その声を聞いた直後、私は走り出す。と同時に銃声、爆発音が聞こえる。その音はどんどん遠くなり...やがて聞こえなくなった。逃げなくては、逃げなくては。たった今出会ったばかりのヤツの言葉を信じるのは馬鹿らしい。だけど、ヒルズの言葉、
「彼の言うことすべてが本当」...その言葉もあったが、疑えという思いより、信じろという思いが、私を動かしていた。
つづく-----