小説 World-・ 3

木でできた頑丈なつくりの家。それが私たちの家だ。
「じゃあ、俺があの場所にいた理由から話すで。」
ゼロムがあの場所にいた理由を話し出す。
「実は最近、地殻変動や次元の歪みなどから、ポケモンの様子がおかしくなる、通称、異常変異が深刻化しとるらしい。そのせいで探検隊の仕事が増えとってな。せやから、マーメナの仕事の手伝い、まぁアルバイトみたいなもんをしとったってわけや。」
異常変異。きいたことがある。地殻変動、次元の歪みからおこる病的なもので、普通はめったにかかることの無いものなのだが、兄の話によると、異常変異にかかりやすくなり、探検隊の仕事がいっきに増えたという。
「ゼっきゅんはバトルも強いし、頭もいいほうやから、私にとっては探検隊になってほしいんやけど...。」
その言葉をきいたとたん、ゼロムはマーメナを睨み、怒りのこもった声で言う。
「それは無理やと言っとるやろ!まだメルナスも幼いんや。断る。」
「わかっとるって。残念やけど、諦めるわ。」
マーメナは残念そうな顔をする。本当にゼロムを探検隊にいれたかったのだろう。
「私は...いいよ?」
ゼロムが驚いたような顔をする。私にとっては、こちらのほうが好都合だ。仕事が続けやすくなる。
「メルナス。おまえまだ12才やろ!?その歳で、どうやって生活していく気だ!?」
マーメナも、同様。驚いた顔をしている。
「メルナスちゃん。ゼロムのいうとおりやで?その歳で、一人で生きていくのはきつすぎるで!?」
「大丈夫。私もだいたいの事はできるようになったし、お金も、自分で何とかする。」
盗賊団にはいっていれば、大抵のお金は手に入る。今までにためたそれで、しばらくは生活できるし。
「おまえがそう言うなら...探検隊、やってもいいで?」
するとマーメナが喜びのあまり立ち上がる。分かりやすい。
「ありがとなあ!!でも、メルナスちゃん...。」
「も〜!マーメナは本当に心配性だなぁ!大丈夫だって!」
ゼロムもあきれたような顔をしている。
「マーメナ。メルナスは真面目なやつや。なにより、俺はこいつが嘘をつくようなヤツだとは思っとらん。だから心配するな。」
マーメナは申し訳なさそうな顔をして言う。
「ごめんな!メルナスちゃん!それじゃゼっきゅん、明日迎えにくるわ!」
「あぁ...てか、その呼び名やめろっていってるやろ!!」
兄との、平凡な日々が続くと思っていた毎日。明日からそれが少し変わりそうな気がした。
つづく----------------