小説 World-・

目の前にいるのは、まぎれもなく、私が兄としてきたポケモングラエナのゼロム・ギリュートだ。
「メルナス。お前、なんでこんなところにいるん...?」
兄は鋭い。きずかれたらどうしようと、冷や汗をながす。しかし、私にも疑問があった。
「お兄ちゃんこそ、どうしてここに?」
するとゼロムは少し困ったような顔をして、
「あぁ、それはな...」
「お〜い!ゼっきゅん...あ!メルナスちゃんやないか!!」
ゼロムの言葉を完全に阻止して現れたのは、ゼロムいわく超KYなブラッキー、マーメナだ。
「メルナスちゃん!どないしてこんなところにいるん?ここは盗賊団がよく活動してる所やで!ケガとかしちゃうで!あ!ケガしとらん!?」
マーメナは短気な性格だ。でも、とても心配性な一面もある。
「大丈夫だよ。えっと、マーメナは探検隊だから分かるけど、どうしてお兄ちゃんまでここに?」
そう。マーメナは探検隊だ。仕事をこなしていく彼女の姿はとてもかっこいいと思う。でも、私が探検隊になることなんて、無理だと思うけど。
「ここで話してもなんだ。いったん家に帰るで。」
それに答えるように、マーメナも言う。
「せやな!さ、行こうや、メルナスちゃん!!」
周りを見ると仕事仲間のポケモン達の姿はない。きっと逃げたんだろうと思い、兄の指示にしたがうことにした。
「分かった。じゃあ、帰ろっか。」
つづく----------